城下町ブログ

第12回 訴状

こちらのブログは、尼崎市内の公共施設や尼崎信用金庫、郵便局などで配布している情報誌「南部再生」の編集スタッフが、取材の舞台裏や関わっているプロジェクトなどをご紹介している。今回は、現在制作を進めているvol.62から、<南部百景>というコーナーの話題をお届けしよう。
<南部百景>は、尼崎南部の風景を絵だけで紹介するコーナー。居酒屋をぶった切って断面を見せたり、選挙の開票作業を観戦したり、惜しまれつつ閉店した人気食堂を真上から覗いたりと、視点を変えるおもしろさを提供しているつもりだ。なにしろスマホでいつでもどこでもきれいな写真や動画が撮れてしまう時代なので、最近は「スマホじゃこれはできんだろう」という描き方にこだわることが裏テーマになりつつある。

【参考】南部百景バックナンバー
第22景 巨大居酒屋の断面
http://www.amaken.jp/21/2106/

第67景 開票作業は団体競技だ
http://www.amaken.jp/54/5410/

第71景 ピークタイムの食堂
http://www.amaken.jp/58/5807/

さて、vol.62の取材先に選んだのは、神戸地方裁判所尼崎支部。所内は撮影不可ということが決め手になった。山手幹線沿いの施設なので、北部じゃないかという向きもあるかもしれないが、そこはご容赦いただきたい。今回のミッションはずばり、「法廷スケッチをやってみよう」だ。そのまま取材依頼をしたところでアホっぽさ満載だし断られそうなので、取材依頼文をしたため、見本誌とともに提出して待つこと10日間。ようやく許可が下りた。ちなみに、傍聴だけなら予約や申し込みは不要。テレビなどでよく見聞きする整理券が配布されるのは、よほど話題性のある事件に限られるそうだ。

傍聴した公判は3つ。1件目は万引き事件の判決だ。被告人は揚げ餅5パック計1,827円分を万引きしたという前科4犯の主婦。2件目は警備会社の社員が、本来警備すべき家屋に合いカギで侵入し空き巣を働いたという事件の証拠調べ手続き。3件目は自転車でひったくりして財布の入ったバッグを奪い、さらに相手を転倒させてケガをさせた事件の、同じく証拠調べ手続き。このラインナップについ「らしさ」を感じてしまいそうになるが、取材に対応いただいた方によると、軽犯罪というのはどの地域でもこのようなものだという。

手錠と腰縄をつけて入退廷する被告人、その一番近い席で見守る家族や友人たち、そしてもしかするといたのかもしれない被害者と関係者の後ろ姿、被告に語り掛けるように判決文を読み上げる若い裁判官、淡々と書類を提出していく検察官…。犯罪がなければ顔を合わせることのなかった人たちが居合わせる場所で「なぜ、そんなことを」と思いを巡らせていると、全体的に薄暗い室内の照明と相まって気分も沈んできてしまった。

肝心のスケッチはどうだったかというと、目と耳と利き手の左手をフル稼働させて臨んだつもりでも、思うような成果は出ないものだ。最初の判決は、入廷から退廷までわずか5分。あとの証拠調べ手続きも各20分しかなく、そもそも筆の遅い私には体感的にあっという間だったのだ。こちらでは法廷で描いたままの状態をご紹介する。加筆して仕上げたものは「南部再生vol.62」に掲載するので、どの程度盛ったのか比較していただきたい。どうぞお楽しみに。

手錠をして入廷(右上)、被告人A(左上・右下)、起訴状を読む検察官(左下)

【joe12_02】弁護士(上)、被告人B(下)