城下町ブログ

第1回:極上


「尼崎に城ができるので、このブログをちょっと担当してくれませんか」とお誘いいただいた。当初は季刊発行を謳いながら、最近はもっぱら「年3〜4回」といった曖昧かつ弱気なスタイルに移行しており、なんとか今回の依頼を穏便にお断りできないかとその理由を探し回ったのだが、「尼崎南部地域の再生」を標榜してしまっている小誌編集部として、「お城の復活」は非常に大きなトピックだし、と断腸の思いでとりあえず1年間お引き受けすることになった。

まずは私たちが発行する「南部再生」のご紹介から。尼崎大気汚染公害訴訟の和解金を活用して設立した「尼崎南部再生研究室」で発行する尼崎南部地域のフリーマガジンで、2001年からこれまでで58号を数える。市内の尼崎信用金庫や郵便局、阪神電車の各駅、公共施設といったところで無料で配っていただいている。
http://www.amaken.jp

<お城建設が発表された2016年発行の第52号特集「ドゥザキャッスル」。>

「南部ってどこからどこまで?」というよく寄せられる質問への明確な答えは特にない。尼崎市に南北境界線はないし、たとえあったとしてもJR説、山幹説、国道2号線説などさまざま。あえて言うなら、住まいを聞かれた時に、阪急神戸線ブランドの駅名ではなく、さらりと「尼ですわ」と答える人たちの暮らすエリアといえばわかってもらえるだろうか。

シャイなのにおせっかいでさみしがり。そんな尼崎の人たちやお店を紹介し、時には複雑に入り組んだ現代社会の問題にも鋭くメスを入れる雑誌の編集部員が、こちらのブログを担当する(ちなみにこの第1回を書いているのは若狭です。よろしくお願いします)。

で、去年立ち上がったこちらの公式観光サイトのタイトルが「情たっぷりの城下町 ジョーのある町尼崎」。「城」と「情」をかけて、人情、旅情、情景、情熱などと尼崎のスポットを紹介している。つまりダジャレだ。ちょっと観光局さん、大丈夫ですか。と心配になるがどうも問題ないようなので、「武庫川のムコウガワ」「ゲイゴトマナブ」「ドゥザキャッスル」といった珠玉のダジャレ特集タイトルを連発してきた小誌としても大いに「ジョー大喜利」に乗っかって、城下町周辺のジョーを探してみるとしよう。

まずは小誌第56号の特集「おやつの時間」で昨年訪れた「育成調理師専門学校」へ。お城の南西300メートルの開明町にある、まさに天守閣のお膝元である。ここではシェフやパティシエを目指す高等課程の生徒たちが腕を磨いている。2年ほど前からたびたびお邪魔しており、2017年高校生パティシエコンテスト「貝印スイーツ甲子園」で特別賞に輝いた超高校生級トリオ(http://www.amaken.jp/55/5514/)の動向をウォッチし続けてきた。

<全国大会トリオ。左から中田大智さん、中川華鈴さん、横山遥風さんで撮影当時は2年生。>

その彼らがお城にちなんだお菓子「らんきん」を発表したのがちょうど今から1年前の2018年3月。授業で尼崎城の話題とともに謎のお菓子「らんきん」の存在を知り、復活させたいと全国トリオが様々なイベントでその試作品を販売しながら改良を重ね、今年3月の卒業展でも販売されていた。(らんきんをめぐる冒険譚はこちらでも。http://www.amaken.jp/56/5608/

<大正5年出版の地誌『尼崎郷土誌』。大物にあった「吉井屋」が「二百数十年以来の老舗にしてランキンを製造」とある。>

レシピはもちろん、味や形、作り方なども残っていない幻のお菓子だが、その名前や当時の食事情などを推理しながら、四角いクッキー生地をきなこと抹茶の粉で覆ったお菓子へと仕上がった。「らん菓子」と名付けられたその味は、若きパティシエたちの手によって平成の最後に復活を遂げたのだった。

<上品なデザインのラベルがついた新たな尼崎名物が誕生した。>

高校生たちの情熱で、尼崎城にまつわるプレミアムな極上(ジョー)スイーツが復活。彼らはめでたく就職も決まり、4月からはホテルやレストランで腕をふるう。育成調理師専門学校では引き続き、らんきんにまつわる情報を募集している。

 

来月からも尼崎にまつわる「ジョー」を紹介していく。さて、この記事に「ジョー」がいくつ隠れていただろうか。答えと感想はinfo@amaken.jp へ。正解者に「南部再生」の特集号「おやつの時間」をお送りします。