あまがさきアート・ストロール 特別インタビュー その4

閑静な石畳の道が続く「寺町」。11ある寺院の一つ「大覚寺」は、尼崎で一番の古刹です。今回のアート・ストロールでも作品展示箇所の一つとなっています。今回は大覚寺の副住職である岡本さんに、普段は檀家さんの参拝が中心であるお寺さんとして、アート・ストロールのような多くの人を集めるイベントを開催することに対して、どういう思いでいらっしゃるのかお話を伺ってきました。

「尼崎へ来てもらうきっかけになれば」
大覚寺:岡本悠道副住職

ー岡本副住職が尼崎へ来られたのはいつですか?

5年前に大阪の茨木市から尼崎に来て、いろいろびっくりすることはありました。

まず、交通の便がすごくいい所だなあと思いました。大阪に行くのも、神戸に行くのも便利ですし、高速道路もありますし。
お坊さんとして奈良とか京都に行く機会が多いんですけど、交通機関が充実してるなと感じますね。
(それまでの)印象の通りだなと思ったのは、人の明るさというか、親しみやすさというか。
そういうところはやっぱり、イメージしてた通りでしたね。

特にうちがお寺というのもあるんですけども、来た方には気軽に話しかけていただきます。道の前で会った方とお話するような機会もありますね。

街の人からは気軽に話しかけてもらえるという岡本さん。寺町は、石畳の道が残る閑静な通りで、市外の人に尼崎を案内する時、「尼崎にこんな場所があったんですね」とよく驚かれるのがこの寺町である。しかし実はこの通りは今も住民の生活道路で、買い物帰りの人が自転車に乗ってよく通っている。
ー大覚寺さんには普段どんな方が来るんですか?

檀家さんのいるお寺なので、基本的には観光客向けに開けているお寺ではないんですね。なので、このアート・ストロールみたいな催しがあると、いろんな人に仏さまに手を合わせていただくいい機会になるんじゃないかなと思っています。
観光をメインにされているお寺さんもありますが、うちは檀家さんを中心にやっているお寺です。節分会と毎月21日の写経以外は、なかなか檀家以外の方に来ていただく機会ってないですね。

毎年節分の日に開催される「節分会」。

大覚寺の節分会は、大覚寺身振り狂言や、境内のからくり人形の観覧などが可能。破魔矢や昆布だるまなどの授与も行われ、多くの人でにぎわいます。
ーその節分会ですが、いつから始まったんですか?

いつからやっているのかはあまり定かではないのですが、身振り狂言は昭和に入ってから再興されたもので、からくり人形は平成28年以降にできたものです。題材はここ尼崎の大物の辺りが舞台になっているお話がからくりのストーリーになっています。
このからくりは、名古屋の著名なからくり人形師の先生に、伝統的な技法でからくりの人形と仕掛けを作って頂いたものなのですが、からくりを操作する人間の代わりは、尼崎のとある企業さんがオーダーメイドで作って下さったコンピュータ制御の空気圧シリンダーが担っています。

その後、からくり人形師の先生には、からくり御籤やからくりの御朱印も新作で作ってもらいました。来年の節分会からは、からくりの御朱印を動かす予定です。

ー節分会の身振り狂言はどのように始まったのですか?

昔、大覚寺で行われていた狂言の「番組表」が見つかり、それを有志の檀家さんと復興した形ですね。今も基本は檀家さん方が代々でやってくれています。型の練習は12月から練習が始まって、2月の節分会にお披露目です。

節分会は、檀家さんだけでなくいろんな方に、うちの仏さまに手を合わせていただくいい機会だなと思っているんです。なので今後も継続していきたいですし、これからも大勢の方に来ていただければなと思っています。

ーでは、今回のアート・ストロールに期待することは何ですか?

大覚寺や寺町に来るきっかけになればなあと思いますし、アートイベントですので、作品の展示された大覚寺の空間を楽しんでいただきたいですね。素晴らしい空間になると思います。


岡本副住職、ありがとうございました。

実は今回、アーティストの楢木野さんたってのご希望で、お寺さんでの展示が決定しました。お寺×アートの空間が楽しみです。

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