毎日新たな天ぷらを
今回お話を伺ったのは、「日新天ぷら店」3代目店主の鶴留朋代さんと、その母である平尾慶子さんです。
現在は親子でお店を経営されています。
様々なお話を聞かせてくださり、まるで家族のように温かく接してくださいました。
「日新天ぷら店」さんは、「日々新しいものを提供したい」という思いから名付けられたそうです。
常に新しい油を使って天ぷらを揚げており、毎日新鮮な天ぷらが食べられます。
皆さんが想像する一般的な天ぷらとは、味の奥深さや食感がまるで違っています。
後に詳しく書いていますが、一度食べるととにかく病みつきになってしまうほどの美味しさなんです。
こだわりはえび天
イカ、ごぼう、さつまいもなどいろいろな天ぷらが並ぶなか、ひときわこだわられているのが「えび」です。
一般的なえびの天ぷらとは違い、「日新天ぷら店」さんのえび天は身が開かれており、とても大きく弾力があります。
衣の付き方も一般的なものとは異なっていて、冷めてもべちゃべちゃとした食感になることはなく、揚げたてのおいしさが長時間保たれています。
また、衣自体に塩味が効いていて、何もつけなくてもおいしく召し上がれます。
ご飯のお供にはもちろん、3時のおやつにも、もってこいです!
この独自の製法を編み出したのは初代の店主さん。
色々な天ぷらを食べ歩いたのちに、自己流で作り上げたんだとか。
その後はずっとこのこだわりの味を守り続けていていらっしゃいます。
こんなに美味しいえび天を知ってしまっては、他のえび天では物足りなくなってしまうという心配はありますが、
ぜひ皆さんも「日新天ぷら店」さんのえび天の虜になってみませんか!
また、「えびは高価そう」というイメージから、
えび天を選ばないお客さんもいる、と店主さんは語ります。
「こんなに身がぷりぷりしてておいしいのに、食べないのはもったいない!」という思いから、
毎月第3土曜日はえび天(170円)をなんと半額の85円で販売しています。
えびの魅力に気づいてほしい!と、工夫を凝らしているそうです。
このほか、ごぼうは1時間甘辛く煮込んだものを揚げていて、
カリカリの食感も最高です。
さつまいもは、口の中でほわ~っと広がる甘みがたまりません。
そして、さつまいもは天ぷらだけでなく、蒸し芋としても販売されていて、
こちらもおすすめです!
100周年を目指して!
平日は近所に住んでいる地元の方が、休日は尼崎外から来られるご夫婦や子供連れの方がたくさん来店するそうです。
実際に、取材に伺った平日の日中には、地元のお客さんでにぎわっていました。
ただ、「地元の皆さんにとっては『町の天ぷら屋さん』という認識で、『日新天ぷら店』という名前は覚えられていないかも」と朋代さんは不安に思うこともあるんだとか。
でも、「日新天ぷら店」さんは地元の方にとってなくてはならない存在であり、
十分に浸透していることを私は実感しました。
現在、お店の経営を始められてから76年目で、今後の目標は100年目を迎えることだそうです。
昔は「粉もんは儲かる」という理由から、商店街内だけでも10以上の天ぷら屋が存在していたそうですが、
現在はその多くがなくなってしまいました。
3世代にわたって守り続けて来られた「日新天ぷら店」さん独自の味が、この先も受け継がれていったら良いなと思います。
また、「日新天ぷら店」さんに訪れて最も感動したのは、朋代さんと慶子さんの優しさでした。
取材で訪れた私を温かく出迎えてくださり、一つ一つの質問に丁寧に答えていただけてとても情に厚い方だと感じました。
そんな素敵なお二人が経営する、「日新天ぷら店」さんの別格天ぷらをぜひ楽しんでみてください!
Information
日新天ぷら店
住所 :尼崎市建家町83
営業時間:10:00-17:00 定休日:不定休
TEL:06-6413-2952
アクセス:阪神本線尼崎駅・出屋敷駅から徒歩約10分
URL:Instagram https://www.instagram.com/tempura_nisshin/
文章・写真:関西学院大学経済学部栗田研究室
私たち関西学院大学経済学部栗田研究室は「これまで尼崎を支えてきた地元のお店や人々の魅力を伝えるとともに、未だ『苦い』印象をもたれることのある尼崎のイメージを今まで以上に親しみやすく、『甘い』ものへと変えていく」という想いでこの「甘尼」の活動を行っています。
詳しい活動紹介はホームページから→https://kurikuriresearch.wixsite.com/website