大坂の陣後、徳川幕府は大坂城を西国支配の拠点として、大坂城を中心に幕府領、旗本領、譜代大名領を集中させる転封政策がとられました。なかでも尼崎は大坂城の西の守りを固める重要な位置にあり、そんな、尼崎藩で、最後の藩主をつとめた櫻井松平家ゆかりの歴史的な資料や、世界170カ国のコインを展示するのが尼信会館です。
「城下町尼崎展」では江戸時代に建てられた尼崎城の復元模型や尼崎藩主・櫻井松平家ゆかりの「太刀 銘 守家」(国の重要文化財)はじめ、甲胃、火縄銃、参勤交代時の槍などの武具、城絵図、朝鮮通信使送迎の絵巻物などの貴重な資料が展示されています。
尼崎市の市章のもとになった参勤交代のときに用いられた飾り槍や、行列がどこの大名であるかが一目で識別できるようになっていた「槍印(やりじるし)」、櫻井松平家の再興の印として、櫻井家に代々伝えられてきた大旗「朱地葵紋染抜大旗(しゅちあおいもんぞめぬきおおはた)」など、尼崎藩主櫻井松平家ゆかりの資料からは、脈々と受け継がれてきた尼崎の歴史と文化に触れることができます。
当たり前のことですが、この尼崎藩のお殿様もあの教科書で習った参勤交代をしていたなんて、この飾り槍は参勤交代中のどんな物語を眺めてきたのでしょうね。
こちらは鎌倉時代中期の備前畠田の刀匠、初代守家作の太刀。国の重要文化財に指定されています。この太刀に付属している蒔絵飾太刀拵(まきえ かざりたち こしらえ)は江戸時代に製作された名品。
この太刀は9代忠倶(ただとも)の妻が阿部対馬守重次(しげつぐ)の娘であった関係で、重次から贈られ、11代忠名(ただあきら)の佩刀(はいとう)となり、のちに飾太刀としたものです。寛永17年(1640年)の鑑定書「本阿弥光温極書」が添えられています。
「あの会社の技術は折り紙つきだ」などの「折り紙」とは、書画や刀剣などの鑑定書を指します。まさに、折り紙つきの刀ですね!
尼崎信用金庫が保有する5,600個以上の貨幣の中から、世界170ヵ国の金貨・銀貨などが展示されているのが「コイン・ミュージアム」。オリンピックの記念コインやワールドカップサッカー大会の記念コインも展示されています。
コインに使われるのは、国王や大統領、音楽家や科学者などの著名人、動植物、建造物などさまざま。それぞれの国の歴史や風土が表れます。
こちらは、コインミュージアムに展示されている江戸時代最後の万延大判金。14代将軍・徳川家茂の時代、日本の金銀比価が外国に比べて極端に低く評価されていたので、金銀比価の調整を目的として鋳造されました。
尼信会館に展示されている万延大判金は、鋳造された17,097枚の中でも当時の輝きが残っている極美品!ちょっとリッチな気分になれちゃいます。
それにしても、こんなに大きな重そうなお金をやりとりしていたなんて、今の時代からは信じられません!
1階・3階の展示室では、地域の芸術家の絵画や陶磁器、書、写真などが展示されています。
毎回の展示を見に来られるリピーターの方も多くいらっしゃるほか、普段はあまり芸術に触れることのない方が、たまたま展示を見て、ファンになって帰られるかたもおられるとか。
「平成31年に再建された尼崎城が一般公開されたことで当館もさらに注目を浴びています。尼信会館の城下町尼崎の展示をご覧になって、江戸時代の尼崎が大坂の西の守りであったことに大変驚かれるんですよ。」
と館長。
「普段あまり芸術や博物館になじみがないとおっしゃる方でも楽しんでいただけるように工夫しています。」
とほほ笑む館長の解説はまさに折り紙つき。更に尼崎の歴史への興味が深まります。
お隣には、世界の貯金箱博物館もあり、一緒に楽しめますよ♪
寺町のほど近くにあり、尼崎城や寺町散策とも一緒に巡れるスポットです!
施設情報
住所 尼崎市東桜木町3
アクセス 阪神電車尼崎駅から南西へ徒歩約5分
(無料駐車場もあり)
TEL 06-6413-1121
開館日 火曜日~日曜日
休館日 月曜日、祝休日(土曜日・日曜日と重なる場合は開館)、12月29日~1月5日
入館料 無料
公式サイト(外部リンク)https://www.amashin.co.jp/kaikan/index.html