食べる前からワクワクがとまらない
「てっちゃん鍋やすもり」さんの看板メニューはもちろんてっちゃん鍋!
目の前でてっちゃん鍋が出来上がっていく様子は圧巻で、食べる前からワクワクが止まりません。
なんと、辛さや味の濃さも店主の西原さんが希望に合わせて調整してくれるんです。
出来上がった具材盛り盛りの鍋は、辛みの中にも旨味がぎゅっと詰まっています。
てっちゃん鍋のこだわりは“出汁を使わずタレだけで作ること”。
このタレは味噌と醤油がベースの継ぎ足しのタレです。
味噌と醤油の中にある麹菌の活動を考え、夏場と冬場で寝かす時間を変えて丁寧に守り続けているそう。
そんなタレが具材に絡み付いて箸が止まらない、ビールによく合うてっちゃん鍋。
わたしたちが注文した具材いっぱいの鍋は、あっという間になくなってしまいました。
人気店であり続ける秘訣
そんな『てっちゃん鍋やすもり』さんですが、人気店であり続ける秘訣はおいしさ以外でどこにあるのでしょうか。
店主の西原さんは、「お客さんとのコミュニケーション」が秘訣だと言います。
お客さんとコミュニケーションをとることで、お客さんの顔を覚えることができ、次にそのお客さんがお店に来たとにも「あの時の!」と迎えることができるそうです。
店内で初めて会ったお客さん同士もコミュニケーションをとれるように、会話を回し、居心地のいい雰囲気づくりを心掛けているとのこと。
お客さんにとって時たまの外食という機会を素敵なものにしたいという、西原さんの気持ちが取材中、常に感じられました。
実際、私が取材から数日後にお店にお伺いした時も「関学の子やね!」と顔を覚えていてくださり、とても嬉しかったです。
西原さんは、お客さんに言われた「店主は1人、客は1000人」という言葉が心に残っているそう。
「お客さんが1人の店主を覚えることは簡単だが、店主が1000人のお客さんを覚えることは大変だ。だから覚えていてもらえて嬉しい。」と言われた時、「ああ、頑張ってよかったな。」と思ったそうです。
そんな西原さんですが、最初からお客さんとコミュニケーションをとっていたわけではありませんでした。
最初店入った時に、ご自身のお母さんから「あんた喋らんかったら怖いで。笑い」と注意されたそうです。
抵抗があったもののお客さんに喋りかけるようになり、お客さんの会話に入るタイミングを掴めるようになったとのこと。
西原さん:「飲食業ってほんまに作ったものを「はい、どうぞ」だけじゃないねん」
一見さんも常連さんもいつでも気軽に行ける、かしこまらない店の雰囲気の裏には店主の努力がありました。
人気店「てっちゃん鍋やすもり」さんにとっての尼崎という地
『やすもり』さんにとって「尼崎」とはどういう地なのでしょうか。
西原さん:「尼崎は白黒はっきりしていて、気に入ったものにはいくらでも出すけど、気に入らないものには100円も出さんというお客さんが多いねん。」
そんな尼崎の地で、“てっちゃん鍋といえば『やすもり』”と浸透することがどれほど大変ですごいことか想像しきれません。
西原さんはコロナ禍で『やすもり』というのれんの重みを痛感されたそうです。
西原さん:「ペラペラしてるだけののれんに見えるかもしれんけど、めちゃくちゃ重いのれんやねんで。」
コロナという危機をも乗り越える、先代から受け継いだ『やすもり』ののれんは今後もなびき続け、あたたかな時間を提供し続けるのだろうなと思いました。
Information
てっちゃん鍋 やすもり
住所 :尼崎市神田中通3丁目85
営業時間:11:00~23:30(ラストオーダー23:00)
TEL:06-6411-8880
アクセス:阪神尼崎駅から徒歩3分
URL :http://www.yasumori.biz/menu08/
Instagram:amagasaki _yasumori_techan
文・撮影:関西学院大学経済学部栗田研究室
(掲載情報は2022年7月時点のものです)
私たち関西学院大学経済学部栗田研究室は「これまで尼崎を支えてきた地元のお店や人々の魅力を伝えるとともに、未だ『苦い』印象をもたれることのある尼崎のイメージを今まで以上に親しみやすく、『甘い』ものへと変えていく」という想いでこの「甘尼」の活動を行っています。
詳しい活動紹介はホームページから→https://kurikuriresearch.wixsite.com/website