お祝い事を盛り上げる「菰樽(こもだる)」
日本伝統の「ハレの日文化」を守り続ける岸本吉二商店で“マイ菰樽づくり”
(この記事はHYOGO!ナビとの連動企画です。)
「菰樽(こもだる)」ってご存知ですか?
お祝い事や神事で、大きな酒樽のフタを木槌で割って開く「鏡開き」。
この時に使われる杉の酒樽に“菰”を巻き付けたものが「菰樽」です。
「ハレの日文化」に欠かせない「菰樽」ですが、今や製造できる会社は尼崎の2社しかありません。
希少な職人技を間近で見ることができて、“マイ菰樽”づくりもできる、
その名も「世界で一つだけの菰樽づくり体験」をご紹介します!
阪急塚口駅から徒歩約10分、住宅街の一角にある「岸本吉二商店」は、明治33年(西暦1900年)創業。
菰樽の製造を手掛ける業界トップの会社です。
体験開始前に、4代目社長の岸本敏裕さんにお話を伺いました。
《岸本さん談》
『菰樽は、江戸時代に、酒樽を船で運ぶ際に緩衝材として藁(わら)でできた菰(こも)でくるんだことが始まりです。
そこに酒の銘柄がわかるように商標などを記すデザインになり、それが今でも使われています。
尼崎は、灘や伊丹といった酒どころに近いことから、地場産業として菰樽(こもだる)の部材である菰と
縄づくりが盛んになったんです』。
岸本吉二商店は今から約120年前の1900年、菰縄の製造を開始。
日本酒需要の低迷によって今では2社が残るのみとなった菰樽づくり。
4代目の岸本敏裕さんは後世に受け継いでいくために、菰樽の魅力をさまざまな形で発信。
今回紹介する「世界で一つだけの菰樽づくり体験」はその取り組みの一つだそうです。
工場見学は、杉樽を包む菰(こも)を作る工程からスタート。
稲藁(わら)を一本ずつ機械に差し込み、菰を編んでいきます。
職人さんの作業はとてもスピーディーでリズミカル。
その場で藁を差し込む体験もできますが、なかなか難しいんです。
《岸本さん談》『今、藁(わら)を手に入れるのは非常に難しいんです。
昔は米農家が稲刈りをした際に出た稲わらを買い取っていましたが、
近年の刈り取りはコンバインなので、わらは粉砕されてしまうんです』。
岸本吉二商店では、原料となる藁を探し、神戸市北区の米農家に協力して頂いて、
毎年自分たちで稲刈りをして稲わらを確保しているのだとか。
《岸本さん談》
『素材である藁もなくなりつつあり、私は、当社の仕事を絶滅危惧種と位置付けています。
私たちが守らないと、未来に残らない。
だからこそ、伝統文化の担い手として、次世代に継ぐことが使命だと思っています』。
次に見学した工程は、印刷です。
織り上げた菰(こも)に、熱転写で蔵元の印を捺します。
こちらも一枚ずつ手作業。
その日の気温や湿度によって押す力や時間を加減する必要があるのだとか。
次は樽に菰を巻いて縄で“荷造る”という工程。
カラダ全体を使い、大きな樽に、縦に横にと次々に縄を巻き付けていく様子は迫力があります。
熟練の職人さんだと1個当たり15分という手早さで仕上げるのだそうです。
鏡開きとクラッカーが合体した「もりあげ樽ドンパ」という商品も体験できます。
酒樽からキラキラのテープが豪快に飛び出して、迫力満点です。
工場見学の後は、いよいよミニ菰樽づくりです。
菰にマジックペンで絵を描きます。
名前や似顔絵を描いて、結婚や長寿のお祝いなどにするなど、デザインは自由です!
完成した菰を使って、職人さんが菰樽を仕上げてくれます。
目の前で巻くところが見学できるのですが、手早くてあっという間に出来上がり!
伝統文化の裏方である職人さんたちの世界を垣間見ることができて、
さらに間近で職人さんたちの美しい手さばきが見られるのは、こういった体験の醍醐味です。
1.8Lのミニサイズなのでそのまま持ち帰れるのも嬉しいところ。
岸本吉二商店では、さまざまなオリジナル商品の開発・販売もされています。
1番人気は、卓上サイズの「ミニ鏡開きセット」8,800円(税込)~。
蓋の鏡板に仕掛けがあって、繰り返し鏡開きが楽しめるんです。
元旦や七五三、誕生日用など約30種類ものデザインが揃っているので、
お正月やパーティーに取り入れたら盛り上がりそう。
新たに登場した菰樽ライトはディスプレイとして国内外から人気なんだとか。
【おすすめ体験】世界で一つだけの菰樽づくり体験
菰樽の歴史をビデオで学び、工場見学の後、オリジナルミニ菰樽づくりに挑戦
1人7,700円(税込)※4名以上で要予約
実施期間:2月~10月の平日
所要時間:1時間15分程度
※詳細・予約はこちらをご覧ください
DATA:
◇ 岸本吉二商店
兵庫県尼崎市塚口本町2丁目8−25
TEL:06-6421-4454
営業時間:9:00~16:00
https://www.komodaru.co.jp/
https://company.komodaru.co.jp/