2種類の麺料理
私は今回、3種類の麺料理を頂いた。1つ目は担々辣麵だ。
ピリ辛胡麻スープが細麺の香港麺と絶妙にマッチしている一品となっている。
笠松さんによるとこだわりは「お肉」だという。鹿児島の霧島産の黒豚をふんだんに使用している。
肉のうまみを最大限引き出すため形が歯ごたえがある大きさになっている。
嚙めば嚙むほどお肉の味が口の中に広がり幸せな気持ちになった。
2品目は牛油かすと黒胡椒の煮込みそばである。
こちらは姫路で働いていた際、油かすを使用する料理を食べて思いついた一品だという。
このお店の数少ないオリジナル料理の1つだ。お肉やお魚に中華特有の技巧を凝らすことで柔らかくなっている。
牛油かすや海鮮と香港麺の相性が良く、これまた美味しく、中華料理の魅力を感じた。
また後日、足を運んだ時に頂いたのは鶏肉と白葱の糸切り汁そばだ。
こちらは鶏肉と白葱によるさっぱりとした味わいの一品だった。暑い日でもどんどん食べたくなる美味しさがあった。
料理長の経験
笠原さんの特徴は何といってもその素晴らしい経歴である。
ホテル日航姫路やウェスティン都ホテル京都で料理長や副料理長補佐などの経験を持っており、その腕は一流である。
学生時代にラーメンでバイトを始め、そのまま中華の道へ。青冥という北京料理専門店で下積みを行い、そのあと様々なホテルで経験を積んできた。
30歳ぐらいから中華専門のお店を持ちたいと思い、約3年前このお店をオープンさせることが出来たのがこのお店「裕華」だ。
店名には人が集まってにぎやか、華やかなお店にしたいという思いが込められている。
中華に魅力を感じたきっかけ
何といっても中華料理が好きだったことがきっかけだそうだ。
不思議なことに和食や洋食を食べに行っても飽きてしまったり、すぐにお腹いっぱいになってしまう。
しかし中華はきれいに食べてしまう。
好きな中華料理を伺ったところ鴨料理とのこと。それだけではなく魚の胃袋のスープなど料理の名前が止まらない。
心から中華料理を好きだという笠原さんの思いが強く伝わってきた。
お店の強み
笠原さんは「食材の質を落としたくない」という思いがある。
例えばランチだからと言ってランチ用の食材にはしたくない。しかしホテルとは値段が違う。
ホテルは景色やサービス料などで値段が高くなってしまう。
その点このお店では本格的な広東料理をリーズナブルに提供することが出来るのである。
そのなかで1番大切にしているのがお客様だ。
「料理は100%の味は出せない」と笠原さんは話す。なぜならOne by Oneで料理をするからである。
そのため75%から80%を最低ラインに設定し、それ以下の料理はすべて作り直すのだそうだ。
食材は火を入れた時点で後戻りができない。それくらいの高いレベルの料理を味わうことが出来るのである。
130ものメニュー
料理メニューはバンバン降りてくるそうだ。まさに料理を考えることが趣味なのだとか。
寝ていてもテレビを見ていても思いつくと話していた。
このお店にはなんと「130」ものメニューがある。
そのなかでおすすめのメニューが麻婆豆腐、ふんわり玉子だ。
麻婆豆腐は旨辛な味になっている。山椒4種類、唐辛子系も5種類を合わせて入れることで味が変化する。
食べた時にバチンと味と香りを出す絶品料理になっている。
これからのビジョン
「目標というものはない」と笠原さんは話す。安定供給は当たり前だ。当たり前のこととしてお客さんに料理を満足してもらって、また帰ってきてもらう。それしか考えていないそうだ。
Information
中國菜 裕華
住所 :尼崎市武庫之荘本町3丁目1-22
営業時間:ランチ 11:30~14:30 ディナー 17:30~22:00
定休日:月曜
TEL:090-3264-3623
アクセス:武庫之荘駅から徒歩16分 駐車場有
文章・写真:関西学院大学経済学部栗田研究室
私たち関西学院大学経済学部栗田研究室は「これまで尼崎を支えてきた地元のお店や人々の魅力を伝えるとともに、未だ『苦い』印象をもたれることのある尼崎のイメージを今まで以上に親しみやすく、『甘い』ものへと変えていく」という想いでこの「甘尼」の活動を行っています。
詳しい活動紹介はホームページから→https://kurikuriresearch.wixsite.com/website