「変わらぬ味、変わらぬ想い」


「田毎庵」の看板メニューは、手打ちの「二八そば」と天ぷらのセット「天ざるそば」。
二八そばとは、そば粉8割に小麦粉2割を混ぜたもので、小麦粉を加えることによりコシがありながらも軽やかな食感に仕上がるそうです。
そば粉の産地は日によって変わり、そのときどきで一番良い状態のそば粉を取り寄せて使用しています。
現在お店を営むご主人はこの道一筋で、御年73歳!そばを打つ手には今も確かな力が宿っています。
そして、「天ざるそば」を語るうえで欠かせないのが、彩り豊かな天ぷらの存在。海老、カボチャ、しし唐、茄子、海苔、さらには珍しいそうめんまで。
衣は卵、水、小麦粉のみ。市販の天ぷら粉には頼らず、揚げ方にも妥協はありません。
「教えたくても、感覚のもんやから教えられへん」と語るご主人の言葉に、技の奥深さが垣間見えました。
「引き立つ、蕎麦本来の味」

今回私は、「いなかそば」というぶっかけそばをいただきました。
二八そばの上にかつお節やネギ、のりや大根おろしが乗っていて、見た目から食欲をそそられます。
まずは店主さんのおすすめ通り、つゆをかけずに一口。
そば粉の香ばしい香りが口の中に広がり、
噛むほどにほのかな甘みとそばの風味を味わうことができました。
その後、つゆをかけて食べてみると、さらに印象が変わりました。
さっぱりとしたかつお出汁の旨味が加わりながらもそばの香りは邪魔せず、飽きずに最後まで楽しめる一杯です。
素朴だけど奥深い味わい、またぜひ訪れたくなる一杯でした!
「一人でも入りやすく、落ち着きのある店内」

店内も広々としていて、カウンター席とテーブル席があり、一人でもグループでも入りやすい雰囲気でした。
また、漫画や雑誌も置いてあって、食事の前後にちょっと読んでくつろげるのも嬉しい。
そして、居心地の良さの源は店主さんのあたたかい接客姿勢にもあると感じました。
店主さんは「お客さんが求めてることを先に出すのが接客」を信念に味だけでなく接客もとても大切にされており、
お冷が少なくなるとさっと注ぎに来てくれたり、そばを食べ終わるタイミングに合わせて、
ちょうどいいタイミングでそば湯を持ってきてくださいました。
また、取材中も終始、気さくに楽しそうに話してくださったのが印象的でした。
一度訪れると、そばのおいしさだけでなく、空間と人のあたたかさにも惹かれること間違いなし!
「何度も足を向かわせる、手打ちそばへの想い」

もちろん、そばにかける情熱も並々ならぬものがあります。
年齢を重ね、そばを打ち続けるのはしんどいと語りながらも、それでも「そばだけは絶対に残したい」と話す姿からは、そばにかける熱い思いが伝わってきました。
今も進行形で、「そばとは何か」を探し続けるご主人の手から生まれる一杯。
「写真で見ても味はわからない。一回、食べてみてほしい」その一言にはたしかな情熱が詰まっていました。
さらに、1度来店すると100円引きの券をいただける特典も!
ぜひ一度、「田毎庵(たごとあん)」の手打ちそばを味わってみてください。
Information
和食・蕎麦処田毎庵(たごとあん)
住所:尼崎市南塚口町1-1-20
営業時間:11:00~15:30、17:00~20:30
定休日:木曜日
TEL:06-6427-1087
阪急塚口駅より徒歩3分
文章・写真:関西学院大学経済学部栗田研究室

私たち関西学院大学経済学部栗田研究室は「これまで尼崎を支えてきた地元のお店や人々の魅力を伝えるとともに、未だ『苦い』印象をもたれることのある尼崎のイメージを今まで以上に親しみやすく、『甘い』ものへと変えていく」という想いでこの「甘尼」の活動を行っています。
詳しい活動紹介はホームページから→https://kurikuriresearch.wixsite.com/website

