昭和テイストな空間
みんなの憩いの場であるわらしべはレトロな雰囲気と懐かしの昭和テイスト。レトロな雰囲気にしたのではなく、こんなお店を作りたいなという気持ちが結果として年月を経て今の雰囲気になったそうだ。阪神淡路大震災を乗り越え、今では数少ない純喫茶の雰囲気を味わうことができる。
店主の思いが溢れる店内
わらしべのおすすめメニューはチーズトースト。創業当時から形変わらず続いている看板メニューだ。こんがり焼いたトーストととろける分厚いチーズは絶品でモーニングにぴったりだ。
パンの耳のシナモンシュガーを付けたシナモントーストも美味しく、昔から変わらない味を楽しむことが出来る。朝からチーズトースト、ピザトースト、フランスパンの仕込みを行っているため、モーニングで楽しむことが出来る。実際に私たちもお邪魔し、朝にモーニングをいただいたが、とてもおいしく今日も頑張ろう!という気持ちになった。また美味しさだけでなく、お店の温かさにも触れることが出来た。そんなわらしべで朝を過ごせば朝から心もお腹を幸せになること間違いない。
美味しさの秘訣は水とコーヒーの挽き方、そして気持ちにあり?
チーズトーストやシナモントーストだけがこのお店の魅力ではない。純喫茶といえば何といってもコーヒーである。おいしいコーヒーの秘訣は水だという。わらしべではお冷にもこだわっており、すっきりとした冷たく美味しい純粋な水を提供している。また美味しいコーヒーには豆を挽くスピードが重要であるという。熱を持ってはいけないため、素早く豆を挽くことにこだわっている。家庭でコーヒーを楽しむ際には豆を挽く際、香りや雰囲気をゆったりと楽しむことが多い。しかしそれでは美味しいコーヒーがなかなかできないのだそうだ。マスターの山本さんは、コーヒーのおいしさには、豆と水のよさが大切であり、豆の挽き方は何年か続ける中で上達すると話していた。
また、もう一つ、マスターの山本さんが大事にしているのは、やはりお客様である。「美味しいコーヒーができたかどうかは(お客さん)に飲んでもらっているから、『美味しいよ』と言ってもらえればそれを覚えておく」と山本さんは話す。「腕というよりも美味しいコーヒーを飲んでもらうという気持ちを込めておく。そうすることで自然とコーヒーが美味しくなる。変わったことはしていない」喜んでほしい。美味しいと感じてほしい。そのようなお客様への気持ちが山本さんの原動力であり、わらしべの魅力である。わらしべのコーヒーは山本さんの思いが隠し味となっている。
同じ味というこだわり
記事の執筆者である私も実際にコーヒーをいただいた。わらしべのおすすめコーヒー「ソフトブレンド」、「わらしべブレンドコーヒー」の2種類を飲み比べた。「ソフトブレンド」は飲みやすくスッと柔らかい口当たりが特徴。マイルドで癖がないため、ブラックコーヒーが苦手な人もおすすめだ。対して「わらしべブレンド」は濃く重厚感のある味わいが特徴。酸味が少なく苦みが少しあるが、コクがあり飲みやすい。お客さんは「ソフトブレンド」をよくおかわりしてくれるそうだ。
わらしべでは、お店を始めた時からコーヒーだけでなくコーヒー豆も販売している。「同じ豆を使っていても家で作るのとは全然違う。喉に引っかかってはよくない。家で作るブラックコーヒーには苦みや酸味があるから。僕たちは一回作ったらずっと同じ味を作らなければあかん。出来不出来というのは許されない。」と話す山本さん。
記事の執筆者である私も「ソフトブレンド」と「わらしべブレンド」の2種類のコーヒーを購入した。家で作るコーヒーには豆本来の美味しさがあった。しかし山本さんが話すように苦みや酸味が出てしまった。やはり山本さんしか出せない味がそこにはあった。
Information
わらしべ
住所 :兵庫県尼崎市南塚口町5丁目2−1
営業時間:7:00-20:00、年中無休
TEL:06-6426-6080
アクセス:阪急塚口駅から徒歩8分
文章・写真:関西学院大学経済学部栗田研究室
私たち関西学院大学経済学部栗田研究室は「これまで尼崎を支えてきた地元のお店や人々の魅力を伝えるとともに、未だ『苦い』印象をもたれることのある尼崎のイメージを今まで以上に親しみやすく、『甘い』ものへと変えていく」という想いでこの「甘尼」の活動を行っています。
詳しい活動紹介はホームページから→https://kurikuriresearch.wixsite.com/website